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何度目かの着信音が耳へ届いた頃、俺はようやく眼を開けた。
どうやら泣き疲れて眠っていた様だ。
半ばまだ頭が動いていない俺は、相手を確認せず通話マークを押す。
「――はい」
『颯斗か?!ようやく出た』
切羽詰まった声が電話の向こう側から俺の名を呼ぶ。
「翔琉?どうしたんですか?」
『どうしたもこうしたも、心配だったから逢いに来たんだ』
「え?」
スマートフォン片手に窓まで移動し、カーテンを捲った俺は、闇深い外の様子を確認する。
するとそこには自身の車に凭れ、スマートフォン片手に話す翔琉の姿が見えた。
「どうせ颯斗のことだ、余計なことをまた考えてるだろうと思って。早く出て来いよ、だいぶ冷えちまったぞ」
そう言って翔琉からの通話は切れてしまう。
着信履歴を確認すると、そこには何十件も翔琉からの着信が。
現在は、深夜三時過ぎ。
最初に着信があったのは、一時半過ぎであったからもしかすると二時間近く俺の家の前で待っていたのだろうか。
頭が真っ白となる。
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