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「ねぇ、タカ。明日もここでバイト?」 コンサート自体は、ツーデイズだ。 「いや、明日はカフェのバイトだから今日だけだよ」 三箇日中、俺がカフェのバイトの休みを貰えたのは元旦だけ。明日からは正月関係無く通常営業だ。 「そっか、じゃあさ……またこうしてタカと再会できたのも何かの縁だし、連絡先……交換しない?」 ネイビーにオレンジラインが入ったジャージ上下に身を纏っていた篁は、残念そうな表情を浮かべズボンポケットから自身のスマートフォンを取り出した。 「いいよ」 翔琉と連絡先を交換した時とは違い、俺は背負っていたリュックサックから自身のスマートフォンを迷いなく取り出す。 無事にお互いのスマートフォンを振り合い、友達登録が完了したタイミングで心織がバイト専用出入口から出て来るのを遠く視界に認める。 「あ、心織!」 一切こちらには気付かず、駅の方へ歩いて行く心織を見掛けた俺は慌てて名前を呼ぶ。 だが心織は、置いていかれたのかと勘違いしたのかこちらの声に振り向くことさえしない。 「じゃ、タカちゃんまたな!」 後ろを振り返らず、俺は心織の方へと急いで駆け寄る。 ――あれ、そう言えば倒れていたタカちゃんは意識あったっけ? 不意にそんな疑問が頭を過ぎったが、歩くのが速い心織を追っ掛けるのに必死だった俺はいつの間にかその疑問も綺麗さっぱり忘れてしまう。 「――うん、またね高遠クン。楽しみにしているよ」 既に遥か遠くとなった俺に、そう呟いた篁をこの時の俺は知る由もなかったのだ。
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