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「水?」
僕はそう水に尋ねた、だが
「いや、なんでもない」とはぐらかされてしまった。
ここで問い詰めるのもなぁ、と思いここははぐらかされてやることにした。
生徒会室をでると廊下に人はすっかりいなくなっていた。
「届けたことだし、いくか」
「うん」
そうして水たちの部室に向かう。
「お」
水が何かに気付いたのか声を洩らした。その声に水の視線をたどると “演劇部” と書かれた部屋にたどり着いた。
水はそのまま演劇部の部室へとはいっていき、僕はその水の背中に隠れながらついて行った。
「こんにちは」と水が言う。すると、
「あっ! 部長!」
「今日はあの子くるんでしょ?」
「部長〜、あれ決まった?」などの水に対しての言葉がきこえた。
「…五貴」
名前を呼ばれ僕は水の背中に体重をのせた。
「今年の新入生歓迎会は五貴に手伝ってもらいたいんだ」
「なにすればいいの?」
「短い劇を動画にしようと思ってる」
「水の頼みだから努力はする、けど名前は絶対隠して」
僕はそう言いながら水のブレザーを掴んだ。
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