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「うん」
水はそういうと、僕の頭に手を置き穏やかに微笑んだ。僕はそれに少し顔を緩めて
「やるものは決まってるの?」ときいた。
「まだだよ、五貴の意見も聞きたくてね」
「僕の?なんで…」
そう言えば水は僕の髪を梳かすようにいじりはじめた。
「ん?五貴の求める日本ロマンを知りたくてさ」
「へ」
思わず素っ頓狂な声をだす。
「たまには日本を舞台にしたものもやりたくなったんだよ」
「そう……僕の求める…か」
僕の求める日本らしさは風紀委員長としか言えないぞ、と思いながらなんとか捻り出す。
「あ、神様とか?日本は多神教だからそれをいれれば?」
「いいね、じゃあイメージは華やかだけど神秘的か感じかな?」
「いや、シックで威圧感がある方がいいかも。日本らしさも入れたいなら力強さと少しの謙虚さがほしい」
「確かにそうかも、 うん。1回帰ってまとめてから明日話し合いたいな」
水がそう言えば周りの部員たちは笑顔で了承する。
「了解」
「わかりました!」
「はい」
僕は一緒に水とともに寮へと帰る。まとめるということは台本の案を考えるから今日は夕食に食堂いかない方がいいかな。
「今日は夜どうする?食堂じゃない方がいいよね」
「そうだね、つくってもらってもいいかな」
「いいよ」
そんなことを話しながら僕らは3112号室の扉をカードキーで解除し入っていった。
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