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“あの方お会いできる”
そう思うと胸のたかぶりはましていく。
周りから“ゴクリ”と喉をならす音が聞こえた。
僕は周りと同じ方向を見て思わず“はぁ……っ”と幸せのため息が溢れた。
中央を歩くその姿は美しく勇ましい。
180は超えているだろうその背丈はピンと伸びたその姿は相も変わらず凛々しい。
細すぎず太すぎずの筋肉質な体はまさに男……いや “漢” と呼ばずにはいられないどころか “漢” という言葉はこの人のためにあるのだろう。
そう思わずにはいられないその姿。
しかもこの男は体だけではない、顔まで素晴らしいのだ。
鼻は高くラインが美しい。
唇は赤く細くその男の繊細で力強いと終わらせられる。
顎ラインのなんたる美しさだろうか。
目はキリッと、主張しすぎない涙ボクロと整った大きめの並行二重の上には右斜め上をかたちどる凛々しい眉毛がある。
それらは全て絶妙なバランスでその場所にあるからこその漢らしさだ。
そこにストレートの黒髪。
これぞ正統、まさに日本男児である。
そんな男を見れば椿や牡丹、京都の赤い橋の上に着物姿でいてほしいと願わずにいられない。
それはまさに理想の男。そう、僕にとって写真映えのための理想の姿なのだ。
そんなことを考えていると “ほぅ…” とまたため息がこぼれた。男が見えなくなったとき、この場にいた者たちは悶える。
「……ッ」
「ぁーーーーー」
「風紀委員長様かっこよすぎ」
「キャーーーッ」
「美しい……」
皆、歓声をあげる、しゃがむ、顔を手で覆うなどして己の中に溜まったどうしようもない興奮を逃がそうとした。
そんな興奮のトリガーを引いた先程の男はこの “帝光学園”の風紀委員長様である。
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