日常

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食事が届くと、僕はまずスマホを取り出し、カメラを起動する。  これは真上からど真ん中に焦点をあてて、あとはローアングルから撮って湯気を写すのもやりたいなぁ……。 「五貴(イツキ)冷めるよ?」  その声に自分の世界から出て鈴兎(スズト)と共に食事をとることにした。 (悪い癖だなぁ……)  そう思い自分の中で反省する。 食事が終わりふと、食堂の扉に目をやると規模の大きい親衛隊をもつ人気者な生徒会が入ってきたことが分かると同時に食堂は歓声につつまれた。 朝の今は、風紀委員の親衛隊が多いため声は控えめであるがこれが昼になると耳が壊れそうになるほどの声量になる。  歓声が落ち着いてきたころ、僕らは食堂から退出した。  鈴兎とは同じBクラスなため一緒に教室へと向かう。 「今日も凍乃様かっこよかったねぇ」と緩んだ顔で言ってくる。 「ほんと、風紀委員長様には惚れ惚れしちゃうな」と風紀委員長について話しながら教室の扉を開けると中にいた人の視線が集まった。 「おはよ」そう挨拶すると、 「あぁ、おはよう佐々野(ササノ)湖賀(コガ)」と学級長が返してくる。  鈴兎とわかれ自分の席につく。そのとき 「佐々野くんおはよ!」と前の席にいる小柄な少年3人から話しかけられる。 「ん、おはよ」 そういえば少年らは何故か固まる。  それを見て僕が瞬きをすると少年らは “はっ” と目を見開く。 「どうしたの?」  不思議に思い問う。 「あはは、これが佐々野くんか」  呆れたように言われるが更に訳がわからなくなった。 「そういえばね! 今日副会長様に朝お会いしたんだ」 そういうこの3人の少年らは副会長親衛隊に所属している。まぁ、入っていても相手にはされないようだがそれでも幸せらしい。 「今日は副会長様がお好きなチーズケーキが食堂で出るらしいからきっと副会長様を見られるの」 「副会長様のかわいらしい笑顔は生徒会の皆様か好物の前ぐらいだからね、これは行かなくちゃ」 「でも副会長様最近忙しそうだけどこれるかな? 新入生歓迎会も近付いてるからさ」 「見れなかったら見れなかったらでそれはしょうがないよ……」  健気な少年らの声に思わず頬が緩んだ。 「どうしたの?」  今度は僕が先程問いたように問われた。 「いや、副会長様は幸せ者だと思ってね」  今度は彼らが不思議に思ったように首をかしげた。 “キーンコーンカーンコーン” そんなとき予鈴のチャイムが鳴った。
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