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第1章 地上界
俺、穂先直人は家の近くの河原で大の字になって踏ん反り返っていた。
「まぁた、会社さぼっちまったな…。今月で三回目か、さすがにもうクビだよな。転職かあ…。って言ってもそんな簡単に見つかりっこないし、特にやりたい事も無いしなあ……。」遠くのグラウンドではお年寄りがゲートボールに興じていた。その近くでは犬の散歩中の主婦が噂話で盛り上がり、犬同士も激しくじゃれ合っていた。 空を見上げればスズメやムクドリが自由に飛び回っていた。
「なあんか、俺以外み〜んな幸せそうだな……、だいたいあの原田課長、マジありえねえよ。セクハラ、パワハラ日常茶飯時、よく今まで誰からも訴えられなかったよなあ…。ホント、目の前にいたら一発お見舞いしてやりたいぐらいだぜ!」
と、できもしないことをぶつぶつ呟いていた。
と、その時だ。
“ズゴオオオオオオオーーーーーーーン、ドガーーーーーーーン!!!!!“
物凄い轟音と衝撃が直人を襲った。
「う、うああ!な、なんなんだよ、いったい!」何が起きたかすぐには分からなかった。
だが、目の前の光景を見て、直人は呆然と立ち尽くした…。
「何だよ、これ!何か隕石でも降って来たのか?」
直径五メートルはあろうかという巨大な穴が忽然と直人の目の前に現れたのだ。
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