第1章 地上界

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だが、それ以上に恐ろしい光景が直人を待ち受けていた。先程まで楽しそうにゲートボールに興じていたお年寄りや、お喋りに夢中になっていた主婦とその飼い犬、そして空を舞っていた小鳥達までもがまるで時が止まったかのように、全く微動だにせず一旦停止の状態になっていた。 いや、それだけではない、あらゆる物の時が止まっていたのだ…。 遠くを走る車も、飛行機も、ジョギング中の男性も…、あらゆる物全てが…。 そう、信じられない事だが、直人以外全ての物が…。 「えええ!!ど、どうなってんだよ!!な、何でみんな動かないんだ!? も、もしかしてこの巨大な穴が何か関係あんのか?!」 直人は恐る恐るその穴に近づいた。 四つん這いになりながら覗いて見ると、想像以上に穴は深く三メートルぐらいはありそうだった。 その穴の一番深い所に大きな何か丸い物体があるのが見えた。 見たこともない物体だった。「な、何だよ、アレ?何か乗り物見たいだけど、誰か中に乗ってんのかな? もしかして、映画みたく急にドアが開いたりして……。」 と、次の瞬間本当にドアが開きだしたのだーー。
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