917人が本棚に入れています
本棚に追加
/199ページ
後ろから、リップ音…いや、キスされた。
後ろの席の人…りゅーちゃんが、僕の髪を手に取りキスをしてきた…。
僕は驚いてつい「うぇっ」と変な声を出してしまい、目の前の席の中村くんがこちらを向いた。
「杉崎くん、急に声出してどうしたの?」
「えっ、いや、なんでも…ない…です」
「実(みのる)、なんでもない事ないでしょ?」
僕がなんでもないとことわったのに、りゅーちゃんが横から突っ込んできた。
「さっきね、僕が実(みのる)の髪にキスしちゃったから驚いちゃったんだよね?」
「へぇ、昨日も思ったんだけど田村くんって大胆なんだね(笑)そんなに自分を出せるのスゴいなぁ」
ちょっと、中村くん!!大胆ですます問題じゃないよね!?
というか、自分を出せるの羨ましいという言葉…中村くんは自分を出せてないということですか!!!
しかもそんな中村くんの言葉に反応してる宇都宮くんはちょっとしょぼんとしてる!!可愛い!!
「僕は自分の気持ちに素直なだけだよ。ねぇ、実(みのる)。髪にキスする意味って知ってる?」
ちょっと現実逃避していたら、速攻りゅーちゃんに現実に戻された。
「えっ?知らない、かな…」
うん、本当に知らない。なんか前、漫画で『恋しい』みたいなこと書いてた気がするけど知らないよ!!
「愛おしいって意味なんだよ。ねぇ、僕の気持ち分かってくれた?」
「うぇっ!?あの…えっと………」
いつの間にかクラスの注目の的になっていたことに気づき、恥ずかしさで縮こまった。
そうだよね、考えてみたら僕のクラスのイケメン1、2番を争うような美形が話をしていたら注目するよね。
どうしよう・・・穴があったら入りたい。
そんな困ってる僕を見てか、中村くんが助け舟をくれた。
「自分の気持ちに素直なのもいいけど、杉崎くん困ってるみたいだからそこまでにしてあげなよ?」
「そうみたいだね。いきなりやりすぎたかな?ごめんね、実(みのる)」
「う、うん…」
「ありがとう。少し僕は頭冷やしてくるね」
そう言って、りゅーちゃんは教室から出て行ってしまった・・・
そして、りゅーちゃんの顔が、落ち込んでいるようで胸がチクンと痛んだ。
最初のコメントを投稿しよう!