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「ひぇっ!?」
驚いて変な声が出てしまった…。
今、平凡なはずの僕が、なぜか、季節外れの転入生…もとい、イケメン王子様に抱きつかれている。
なぜ?初対面でしたよね?あれ、どこかでこんなにイケメンとお会いしたことありましたっけ(汗
周りの生徒から、悲鳴が聞こえてくる。
いや、僕が悲鳴を上げたいから…
「あ、あの…は、離して頂けませんか?」
「ねぇ、実(みのる)。なんでそんな他人行儀な言い方なの?僕たち、将来を誓い合った仲でしょ?迎えに来たんだよ。」
イケメン王子様の驚きの発言に、クラスが騒然とした。
え?将来を誓い合った仲?いつ?どこで?そんな記憶は無………
「実(みのる)、もしかして忘れたの?ほら、昔僕が引っ越す前に
『実(みのる)、必ずまた迎えに来るね。そしたら、ずーっと一緒に居れるように私と結婚して?』
『結婚したら、離れ離れにならない?なら、僕りゅーちゃんと結婚する!!絶対に迎えに来てね。』って誓い合ったでしょ?」
「えっ、まさか、りゅーちゃん?だけど、りゅーちゃんって女の子じゃ…」
とやり取りをしていると、ホスト教師がキレた。
「おい、おまえら、うるせぇ。そして田村、いい加減にしろ。席座れ!お前の席は、杉崎の後ろな」
「実に会えたことに嬉しくて、つい。すみませんでした。」
と言い、田村龍也は僕の後ろの席に座った。
そして座る時に僕にしか聞こえないような小声で「また後でね。」と言われ、ドキンとした。
え?えっ?僕の記憶の中にいるりゅーちゃんは、6歳の時にたまたま公園で知り合った女の子。
当時の僕は今以上に気弱で人見知りだった。小学校に上がりたてでまだ友達も出来ず、家にいても1人で暇なので公園で1人で遊んでいた。
その時に、りゅーちゃんが僕に遊ぼうと言ってきてくれたのだ。それから毎日のように公園で一緒に遊んだが、半年ほどして急にりゅーちゃんが親の事情で海外に行くことになり、それきりだった。
その時の約束がさっき言ってたやつだ。
僕もりゅーちゃんのこと、大好きだったし、ずっと一緒にいたくて結婚するっていった記憶が…。
確かに金髪蒼眼だけど髪が肩まで長くて華奢な女の子だったはず…。
あれ、今思い出してみれば確かにスカートは履いてなかったかも?
もし、僕の知ってるりゅーちゃんであっても、女の子と勘違いしてた訳で、どうやって伝えたらいいんだろう。あんなクラスメイトの前で言われた後では、言いづらいったらありゃしない。
でも、早めに誤解を解いておかないと、田村くんに悪いもんね。あと、僕は腐男子ではあるが、男を好きなわけじゃないしね。
そして、いち早くチワワたちからの痛い視線を無くして、生BL観察をするもんね。
よし、ちゃんと後で話すぞ!!
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