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あれ、おかしいな。「また、後でね」と言われてから、特に何も無くて、しばらく経つ。
いや、本当にしばらく…
だって、休み時間も、お昼休みも終わったんだよ!?気がつけば、あと5分もしないうちに放課後だよ!!!!!!
あれ?僕の聞き間違いかな?もう記憶から削除してもいいよね!!
え?自分で行けばいいんじゃないかって?そんなの気が弱い僕に出来るわけないだろ!!
腐男子がみんなオープンだと思うなよ!!僕は、隠れ腐男子だと言ったと思うけど、堂々とする勇気がないから隠れてるんだよ。分かる?いや、わかってくださいお願いします。
まあ、腐男子の件は置いといて、人見知りで気弱な僕には、イケメン王子様に話しかける勇気は無いのですよ。
一応ずっと観察はしてたけど、田村くんはずっとチワワちゃんたちに囲まれてお話してたみたい。
このまま僕の存在を忘れて、可愛いチワワちゃんとキャッキャウフフとしてくれればいいんだ。
僕はもう十分待ったし(休み時間と昼休みだけ)、放課後になったからもう帰るもんね。帰って、昨日のBL漫画の続きを読むんだ!!
と意気込んで、授業が終わると同時に帰る準備をしていると…
「実(みのる)、どこ行くの?久々の再会だし、ゆっくり話そうよ。ね?言ったでしょ?」
「えっと、ごめんなさい。ちょっと、今日は用事がありまして(BL漫画を読むという名の大切な用事が)」
「おい、田村様になんてことを言うんだ!!」
「そうだよ。お前みたいな奴との約束を守るために、この学校に来たって言うのに…」
「そうまでして思ってる田村様を無視して帰るのか!!」
僕が、帰る口実を述べた後に、何故かチワワちゃんたちからの猛攻撃で頭が混乱…。
え?なんでみんな僕とイケメン王子様こと田村くんのことを応援してる風なの?
あれ、というかおかしいよね。
朝はあんなに僕に対して嫉妬全開で睨んできてたのに、なんで?
僕の後ろの席でチワワちゃんとお話してた時、そんな話してなかったよね。
田村くんのことを必死に知ろうとしてる可愛いチワワちゃん達だったよね!?
いつの間にそんなことになったの???
そういや、お昼に田村くんはチワワちゃん達に誘われて食堂に行ってたような…
え、でもお昼休みだけであのイケメン平等主義なチワワちゃんたちが納得するものなの!?
え?そもそも腐男子なら食堂に行けよって?
確かに、食堂なんて生BLの宝庫だと思うよ!!だけどね、食堂高すぎなんだよ。オムライス1つでいくらすると思う?4000円だよ!!ダチョウの卵使ってるのかなって思うよね。そう考えたら、自炊した方が安くすむし、その分BL漫画につぎ込めるしね✧
なんて言ってる場合じゃない。どうしよう、この圧倒的に僕が悪いブームはどうしたらいいんだ!
「ねぇ、実(みのる)。僕との約束よりも、その用事というのが大切なの?本当に?」
「そうだよ!その用事ってどんな用事なのさ田村様より大切なんだろうな!!!」
「しっかりした、理由なんだよね?ふざけた理由なら田村様が許しても僕たちが許さないよ!!」
「そうだ!!どんな用事か言えよ!!田村様が可哀想だろ!!」
「えっ。あ、あの…その、あの、」
田村くんの言葉に僕がどもっていたら、周りのチワワちゃんはこれでもかと責め立ててくる。というか、いつ今日の放課後、田村くんと約束したことになったんだろうか。もう、気弱な僕をそこまで責めないでよ。僕の心はガラスのハートなんだよ。
早くここから逃げたい一心で言ってしまった。
それを後悔するのは、少し後のことである。
「うぅ、あの、そうだよね。約束破ろうとして、ごめんなさい。あの、そこまで大切な用事じゃないから。田村くんと約束してたもんね。早く行こう田村くん。」
その言葉を僕が言ったあと、田村くんがニヤついたのを、怖くて周りを見ないように下を向いていた僕は知らなかった。
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