助け,助けられ

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「でも顔色まだ悪いよ? 食欲は?」 「昼にコンビニで買って来たカップうどん食べたけど」 「それだけじゃダメだよ。ちゃんと栄養とらなきゃ! ――ねえ,お米ある?」  彼女に言われているはずなのに,俺はなんだか母親に説教されているような気持ちになっていた。 「うん,食器棚の一番下。タッパーん中。……何すんの?」 「ありがと。――ん? おかゆ作ってあげるんだよ」 「おかゆ? できんの?」  俺も自炊はするけれど,おかゆはけっこうハードルが高い。できることなら鍋より炊飯ジャーで作ることを勧めたかったが。 「できるよ。じゃあお鍋借ります」 「……うん,ありがと」  瑠花はホーロー鍋をコンロにかけると,米を量りながら俺に訊いてきた。 「それはそうと,ケイちゃん着替えた? 汗かいたまんまもよくないんだよ」 「あー……,そういや病院から帰ってから着替えてなかった。でもなあ……」  彼女とはいえ,男の裸(上半身だけでも)に免疫(めんえき)なさそうな女子高生の前では着替えにくかった。
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