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「あ……」
確認すると、先輩からメッセージが入っている。「楽しかったな」「綺麗だったな」写真とともに、そういったメッセージがついている。見ているだけで、ほっこりしてくる。
私も同じように自分の撮った写真を送ろうとして、手を止めた。
「一緒に見たい」
一度そう思うと、もう止まらなかった。私はスリッパのまま、そしてまだ完全に乾かない髪のまま、部屋の外に出る。
カタン、私の部屋のドアが閉まった。よし、行くぞ! 私は意を決して、先輩の部屋のドアを静かに叩く。
「はい」
中から先輩の声がした。私が声を出すと、先輩が慌ててドアを開ける。
「まどか、え? 何やってんだよ!?」
私の格好を見て、先輩が慌てている。パジャマ姿にバスタオルが巻かれた髪、スリッパのままで携帯を握りしめる私。
「春っていったって、まだ寒いだろ!」
「……一緒に、写真見たいなって」
「……あーもう。早く入れ」
「いいですか?」
「いいから!」
先輩がグイと腕を引っ張り、私を中に入れてくれる。そして、ハァと溜息を零した。
「せめて、髪くらいは乾かしてこいよ」
「あ……。なんか、思い立ったらすぐって感じになっちゃって……」
「ったく」
先輩は部屋の中にあったドライヤーを貸してくれる。コンセントが差してあったので、先輩は使った後なんだろう。
「お借りします」
「風邪でもひかせたら、まどかん家のお父さんに殺される」
「大げさな」
クスクス笑いながら、ドライヤーをかける。ゴォーッという大きな音をさせながら、私は大急ぎで髪を整えた。
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