晋と忠義の噺

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 その日、とてつもなく大きな雷が羽生家に落ちた。  くどくどと信孝に説教すること小半刻。大きななりを縮めて申し訳なさそうに項垂れる姿は怒られる大きな犬のようで、幻の垂れた耳としっぽが見えてきてなんだか可愛いなと晋は思ってしまった。 「晋もいることだし一緒に酒でも飲まぬかと誘おうとしていたら、まさかまぐあっているなんて思わなかったんだよ」  邪魔する気などなかったのだという信孝に、必死に怒りを押さえつける忠義だ。  声を掛けない信孝が悪いが、自分達も少しは悪い。 「忠義よ、もうそのくらいにしておけ」  晋の言葉に信孝も同意するように頷いている。 「晋さんがそういうのであれば」  渋々と怒るのをやめた忠義に、信孝はやっと解放されたとばかりに大きく伸びをする。  反省の色がない気がするが、ひとまず何も言わずにおく。 「それにしても晋の尻ン中に忠義のアレが入るのか……」  後孔のあたりを強く指で押され、今まで忠義のものが入っていた個所は疼きが残っており、晋はその指に感じてしまって「ひゃ、んッ」と声をあげて背筋をぴんと伸ばす。 「晋、お前、色っぽい声出すなぁ」  頬を染めて晋を見る信孝に、もっと触れてやろうといやらしく手を動かす。 「兄上ぇぇっ!!」  触れるなと忠義が信孝の腕を掴みねじりあげる。 「ごめん、ごめんってばぁ」  その痛みから何度も謝る信孝に、 「忠義よ、そのまま腕をねじりあげておれ」  と晋がゆらりと立ちあがり信孝の前へ。  その表情をみた羽生兄弟は恐ろしくなって真っ青になる。 「仕置きだ」  晋の足が信孝の下半身を狙う。 「はぅっ」  声の後にガクッと項垂れる信孝に、一度踏まれた経験のある忠孝はあの痛みを思いだし震える。  そんな兄弟を腕を組みながらフンと鼻をならして見おろす晋だった。 <了>
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