ミスコン開催!

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「さて、気を取り直しましてエントリーNo.5! シウス様!」  あっけにとられていた会場が、意外な名前にどよめき、更に登場した人の美しさとエキゾチックさに見惚れた。  彼はエキルゾの民族衣装である、サリーというものをベースにした衣装を選んだ。この衣装は上下に分かれ、しかもトップスが少し短めにできている。結果、動くと臍がチラ見えだ。その為一度つけたコルセットをあえてやめ、胸元だけをブラジャーをつけて作り直した。  光沢のあるマリンブルーの生地に余すところなく金糸で刺繍が施された七分袖のトップスは、少し動くだけでも煌びやか。下は同色のスッキリとしたAラインだが、こちらも煌びやかな刺繍に加えて腰に飾りベルトがあり、そこについた鈴が歩く度にシャンシャンと音を立てる。  ほっそりとした首には幅広の金の豪華なネックレス。手首には金と銀の細い腕輪が幾重にも重ねてつけられている。白い髪は下ろし、そこに共布の膝裏まであるベールがかけられ、細い金冠で止めている。 「シウス、綺麗……」  自身もまだウエディングドレス姿のままのラウルが、思わず呟く。  シウスはそんなラウルを見つけると知的な瞳を僅かに細めて微笑みを浮かべ、ベールを片方指で摘まんで広げ、腰をくねらせる。  元々男にしては細い腰つきが妖艶にくねり、シャンと音が鳴る。白い臍が見えるだけで、場がただただ見惚れているのが伝わる。  シウスはそのままベールを翻し、反対側の舞台袖へと消えていった。 「えー、妖艶でしたね。あれで三十路とは思えない美しさですが」 「オリヴァー、聞こえておるぞ!」 「失礼しました! では、続きましてエントリーNo.6! ユーイン!」  コールされ、小柄な少年がこれまでとまったく違う服装で登場する。彼はあえて煌びやかさを捨て、コルセットも捨てたのだ。  纏うのは幼女が寝る時に着るような薄手の白いワンピースタイプのパジャマ。下は同じ生地で作られた、足首を絞った感じのズボンだ。  金色の波打つカツラをつけた彼は恥ずかしそうにもじもじとランウェイを歩く。手には大きめのクマのぬいぐるみがある。  正面を向いたユーインは恥ずかしそうに会場を見て、不安そうに大きな青い瞳を揺らしてぎゅっとぬいぐるみを抱き寄せた。 「おぉぉ」  幼女趣味がけっこうな数釣れ、更には妹過保護隊員の庇護欲をくすぐった。  そんな彼が辺りを見回し、ふとジェイソンやアーリンの側にいるリーを見つける。彼も気づいたのか、下から少し赤くなりながらも手を振ってくれた。  それだけで、ユーインはぱっと嬉しそうな顔をし、ほころぶような笑みを見せた。 「うぉぉぉ! 可愛い!」 「俺の妹」  この日から、ユーインは騎士団の「妹」になりそうだ。
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