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翌朝、エリオットは初めて身動きの取れない状態になっていた。
まず、腰が立たない。足の感覚が鈍い。体が怠くて声が出ない。そんな最悪な状態でベッドの中に転がっていた。
「エリオット、起きてる?」
部屋に入ってきたオスカルが手に温かなスープとパンを持って近づいてくる。その彼を、エリオットは恨みがましく睨んだ。
「最悪です」
「ごめんって。昨日のエリオット、凄くセクシーだったんだもん。僕、滾っちゃった」
「滾っちゃったじゃありませんよ!」
テヘッとこれ見よがしなぶりっこ顔をするオスカルを睨んだエリオットだが……まぁ、気持ちは満たされた気がする。
上半身を起こして、そこにオスカルがスープを掬って持ってくる。恥ずかしくて睨んだが、譲る気はないと満面の笑顔で返された。
体に染みるスープは沢山の野菜とベーコンが使われていて、とても素朴で美味しかった。
「今日は僕が、エリオットの看護をするよ。エリオットは寝てていいから」
「そんなわけには。ご挨拶もしなければいけませんし、今日帰るんですよ?」
「昼過ぎでいいよ」
パンをちぎってくれてエリオットの口の中に。既にそれを何の躊躇いもなく食べるエリオット。空気はすっかり小慣れた夫婦みたいな感じになっていた。
「夕飯は部屋でどう? 買っていって、ワインを飲みながら」
「いいですね」
「そしたら今日は早めに寝よう。抱っこして寝てもいい?」
「抱っこだけでしたら」
「勿論」
スープを一口。それを飲み終わった後に触れたのは、オスカルの唇だった。
「愛してるよ、エリオット」
「はい、私も愛していますよ、オスカル」
こうして二人の新年は甘く過ぎていくのだった。
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