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ご主人様にはなれません1(ネイサン×イーデン)
まだ早い時間、暗腐が持つ屋敷からはスコーンを焼くいい匂いと紅茶の香りが漂ってくる。
青年貴族の格好をしたイーデンは現在、モノクルを嵌めた執事状態のネイサンを前に戸惑いつつも、彼の遊びにつきあっていた。
「今朝はスコーンをご用意いたしました。ブルーベリージャムとクリームチーズを付けてお召し上がりください」
「あぁ」
「紅茶はアッサムをミルクで」
カチャリッという小さな音がして、目の前に焼きたてのスコーンとブルーベリージャム、クリームチーズが添えられた皿が置かれる。側には美味しそうな紅茶もある。
小さなサラダボール、スープは野菜とベーコンもついている。
「どうぞ、お召し上がりください」
「あぁ、頂くよ」
恭しい態度で頭を下げたネイサンが一歩下がる。視線は常にイーデンを見つめていて、雰囲気は楽しげ。けれどその視線があるととても食べづらいのだ。
どうしてこうなったのか。それは暗府の余興の話が出始めた頃からだった。
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