(3) サークル、入る気になったかな?

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17時になる前に会場の居酒屋に着いた。 まだ開店しておらず、店先で何人か溜まって待っていた。 「あっ」 その中の一人と目が合って、自然と顔が綻ぶ。紡木さんだった。 紡木さんは僕の方に寄ってきて、 「来てくれてありがとう、木庭くん。でもごめんなさい、まだ中には入れないんだって」 申し訳なさそうに言った。そんな、紡木さんのせいじゃないのに。 「そうなんですね。 えっと…ここにいる人達、全員サークルの?」 「はい。まだ来てない人もいるけど。 実は新年度になってから初めての飲み会なんです。 新入生は今日は4人…あっ、木庭くんも数に入れちゃった、まだ入るって決まったわけじゃないのに」 「はは…」 どうしようかな、サークル。これに入れば、紡木さんに毎週逢えるのかな。 と考えている所へ、紡木さんの後ろからひょいっと松堂さんが顔を出した。 「おいツムちゃん、ちゃんと徴収してるか?」 「あっ、け…松堂さん。そうでしたそうでした。 木庭くん、新入生は初回だけ飲み代1000円なの。無料にできなくてごめんなさい。 私会計係だから…今お預かりしても大丈夫?」 「あ、もちろん。じゃあコレ…五千円から。お釣り出ます?」 「ふふふ。もちろん。ちゃんと準備してますよー…はい、4000円のお返しです」 お釣りの受け取りで紡木さんの手に触れてドキッとして、思わず素早く手を引っ込めた。 紡木さんは松堂さんと一緒に、他のメンバーの所へ会費を徴収しにいった。 あの二人、付き合ってるのかな。 紡木さんの指の柔らかさが残る自分の指先を、人知れずぎゅっと反対の手で握った。 …
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