(4) 10代最後の夏楽しめよ

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「あっノブくん!サークルの掲示板見た?」 前期のテスト週間が終わって、返却される答案に一喜一憂していたある日、 外で資料を乗せた台車を押していると、向こうから友達と一緒に歩いていた紡木さんに話しかけられた。 図書館以外で逢えた嬉しさと、今日は図書館で逢えないのかなという暗い気持ちが、順番に入り交じった。 「ううん。バイト中はケータイいじらない事になってるから。 何か新しいカキコミあった?そういやさっき、ポケットの中でバイブってた(笑)」 「あはは。この後沢山バイブるよ(笑) あのね、ほら来月私達、誕生日じゃない? それで、け…松堂さんがお祝い代わりにサークルで海に行こうって。 今、皆が都合のいい日をカキコミしてる。 ノブくんも後でゆっくり見てみてね」 「ん。わかった。 あ…紡木さん…今日、司書の仕事は?」 「あっうん。今日はお休み。テストが終わったから、これから友達と打ち上げ(笑) じゃ、またね!」 そう言って紡木さんは僕の肩をポンと触れて、友達の所に戻っていった。 【誰?】と友達に聞かれて【サークルの友達で、木庭信暉くん】と律儀にフルネームを伝える紡木さんの背中を見送った。 今日はもうこれで逢えないけど、このやりとりだけで十分だった。 触れられた肩が、じわっと熱かった。 …
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