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「あっノブくん!サークルの掲示板見た?」
前期のテスト週間が終わって、返却される答案に一喜一憂していたある日、
外で資料を乗せた台車を押していると、向こうから友達と一緒に歩いていた紡木さんに話しかけられた。
図書館以外で逢えた嬉しさと、今日は図書館で逢えないのかなという暗い気持ちが、順番に入り交じった。
「ううん。バイト中はケータイいじらない事になってるから。
何か新しいカキコミあった?そういやさっき、ポケットの中でバイブってた(笑)」
「あはは。この後沢山バイブるよ(笑)
あのね、ほら来月私達、誕生日じゃない?
それで、け…松堂さんがお祝い代わりにサークルで海に行こうって。
今、皆が都合のいい日をカキコミしてる。
ノブくんも後でゆっくり見てみてね」
「ん。わかった。
あ…紡木さん…今日、司書の仕事は?」
「あっうん。今日はお休み。テストが終わったから、これから友達と打ち上げ(笑)
じゃ、またね!」
そう言って紡木さんは僕の肩をポンと触れて、友達の所に戻っていった。
【誰?】と友達に聞かれて【サークルの友達で、木庭信暉くん】と律儀にフルネームを伝える紡木さんの背中を見送った。
今日はもうこれで逢えないけど、このやりとりだけで十分だった。
触れられた肩が、じわっと熱かった。
…
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