(4) 10代最後の夏楽しめよ

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夏休み期間のシフトの話を終えて、帰る間際のティータイムを神保さんと過ごしていると、扉が勢いよく開いて槙村さんが滑り込んできた。 「神さん、いるっ? あ、なーんだ、コバッキーも一緒かぁ。やだねー、男ふたりきりでお茶すすっちゃってさ。 あたしももらおっと。紅茶でいいや…」 荷物をドサッとソファーに投げて、まるで自分ちのように手際よくティーポットやらティーパックやらを出す。 ここのあらゆるものの配置を分かっているようで、不思議に思っていると、 「ハッハッ。せーちゃんは1年の時にここでバイトやって貰ってたからね。その頃からあまり変わってないや」 「そーそー。あたしのホームグランド~(笑)」 「あっ、お茶受けのお菓子の場所まで覚えてる(笑)まぁいいや、開けちゃって」 僕の心を読みながら、なんかコントみたいな調子で答える二人。 出されたお煎餅をかじりながら、僕達は少しだけ話をした。 「せーちゃん、こんな時間までいるの珍しいな。最後まで出てたの? 「うん。あたし、明日からもう講義なくて、お盆終わるまで実家帰るから。 最後に神さんにご挨拶と思って寄ってみた(笑)」 さっきの運搬の時に書店で会ってるのに、槙村さんはその話を僕にはしなかった。 何故?とは特に思わなかったが、今、神保さんにその話をしながらしまったという顔を僕に向けたから、とりあえず、へー、あ、そう、な顔をしておいた。 「あ、そーだ。木庭くんさぁ、来月の23日誕生日だろ。 その日にさぁ、飲みに行くか。3人で。俺が奢るからさぁ」 「えーっほんと?行く行く~。 コバッキーもついにハタチかぁ…うぅっ…かーさんカンゲキよ」 「ちょ出来上がる勝手に母親にならんで下さい、せーちゃん」 「うーん、あとはその敬語が出なければ…でも、大分あたしらに馴染んだね?神さん?」 「ハッハッハ。そうだなぁ」 入学してから3ヶ月、少しずつ、少しずつ変わっていく僕を、神保さんと槙村さんは楽しそうに見ていた。 …
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