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目が覚めたら、外は雪だった。
あー……これは今日会社に行くのも苦労しそうだなー……と、寝ぼけた頭で考える。うちの編集長、「今日は雪だから出勤せずに在宅で仕事しろ」なんて……言うわけないか……。
ぐずぐずと身支度をしていると、僕の携帯が鳴った。誰だろう、朝っぱらから。ディスプレイを見ると「秋川先生」。僕が担当している作家の先生だ。
出てみると、先生は開口一番、こう言った。
「片岡君! 目が覚めたら、真っ白だったんだよ!」
あーそうですね、雪が降ってますからね。一面真っ白ですよね。
「そうじゃないよ、片岡君! 原稿が真っ白だったんだよ!」
言われて、僕は頭の中が真っ白になった。そそっかしいことに定評がある秋川先生、パソコンの原稿を保存せずに電源落としたな!
僕は急いでスケジュールを確認した。締切は……今日だった……!
僕は真っ白な原稿をどうにかする為に、真っ白な街に飛び出した。景色はとっても白いのに、仕事はとってもブラックなことになりそうだと思いながら。
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