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 その晩、由伸は気持ちが晴れたこともありぐっすり眠ることが出来た。  しかし、夜更けになった頃、続けざまに鳴り響く呼び出しブザーの音や何度も引き戸を叩きながら開けて!開けて!と泣き叫ぶ悲鳴に叩き起こされた。  一体全体、何事なんだ!気違いか!と酷く恐れ、心が騒いでどう対処していいものか当惑し切った由伸は、兎にも角にも居間の電気をつけ、玄関の電気もつけ、な、なんなんだ!だ、誰なんだ!と子犬が狼に立ち向かうように怯えながら怒鳴ると、恵美よ!恵美!と言うので、えっ!と驚いて怱々に三和土に降りて引き戸を開けた。
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