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第1章 新たな始まり
西東京大会を制した翌日、恋人の彩香の自宅を訪れて楽しい時間を過ごした後、一緒に通った中学校へ、二人で思い出に浸りながら歩いた時に起こった最悪の出来事であった。
中学校前に着いた時に、グラウンドから飛んできたボールを拾いに、彩香が道路に飛び出し、車のクラクションが鳴り響いた。
それを見た俺は、まるでラクビーのタックルの様に、彩香に飛びつく。
足に激痛が走ったが、その後、頭をぶつけた時に霧がかかった様にボーっとしていた。
そして助けた時のまま横たわっていると誰かが俺の体を揺すっているのが分かった。
あれ?誰かが身体を揺すっている
「祐輔!ねえ祐輔!」
あっ!彩香の声だ。
彩香は無事だったんだ。
良かった。
救急車の音が聞こえる。
そうか、俺が車に引かれたのか?
気が遠くなり、救急車の音も彩香の声も段々と聞こえなくなっていき、俺はそこで意識を失った。
次に目を覚ますと、病院特有のベッドの上で、彩香が祈る様に俺の手を握り締めている。
俺が目を開くと、手を握っていた握力が強まり、俺に話し掛けてきた。
「祐輔!」
彩香の目から涙が零れ落ちる。
「ごめんね、祐輔ごめんね」
痛!
右足に激痛が走る。激痛に顔が歪むと彩香が
「ごめんね祐輔、私のせいで甲子園行けなくなっちゃった」
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