俺は俺に回帰する

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目が覚めると、そこには「白い俺たち」がたくさんいた。 俺の目の前には白い俺が。俺の横にも後ろにも白い俺がいる。まるで満員電車の中にいるように、白い俺たちと俺は、ひっつきあってひしめきあっている。 ある白い俺が言う。 「ひっつくなよ。」 別のある白い俺が言う。 「お前こそ。」 また別のある白い俺が言う。 「まあまあ、仕方ないじゃないか。」 俺はまだ、自分の置かれている状況が飲み込めていない。 俺はどうしてこんなところにいるんだ? しかもコイツらは何なんだ? 俺と同じ顔をした、白い連中。 こうなる前、俺は何をしていた? …何も思い出せない。 困惑状態の中、白い俺たちの繰り広げる会話をただただ聞いていた。
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