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再び空が暗転して、百人ほどの白い俺たちが吸い込まれていった。
それが何度か繰り返された。
そして、ついに俺にもその時がきた。
俺の身体が宙に浮いた。もがこうにも、白い俺たちとひっつきあったまま吸い上げられていて身動きができない。
真っ黒な穴と俺の距離はどんどん近付いていく。
そして完全に暗闇に飲み込まれてしまった。
俺は、隣の白い俺の身体が、溶けるように消えていっていることに気付いた。気付くと同時に、俺自身の身体も溶け始めていた。
周囲にはほのかに甘い香りがたちこめている。
俺は誰なんだ。
俺はどうしてここに。
心地良さとともに意識が遠のいていく。
そうか、俺は、俺は。
俺は自分が何者であるか、そしてさっきまで疑問に思っていた全てを理解した。
俺の身体は真っ黒な穴と一体になるようにして、完全に消えた。
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