ゆきのと雪だるま

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「できたー!」 やっと出来上がった事に由紀乃は満面の笑みで喜んでいた。 少し大きめの雪ボールの上に、一回り小さい ものを載せて、庭にあった石を嵌めて目と鼻にした。手頃な枝を二つ見つけて、それを雪だるまに刺し手の代わりにしている。 「でも、なんか足りない?」 出来上がった雪だるまをじっくりと見つめ、それから、ポン、と一つ手を叩いた。 「ちょっと待っててね!」 由紀乃は慌てて家の中に入る。 バタバタと靴を脱いで上がり、急いで自分の部屋に入ると押入れを勢いよく開ける。 「えっと、どこだったかなー?」 あちこち引っ掻き回してようやく見つけ出したのは、幼い頃の手袋とニット帽。捨ててなくて良かった、と由紀乃は思いながら、また急いで外へ出た。 手にしたそれらを雪だるまの枝の先と頭頂部に被せると、由紀乃はにんまりと笑った。 「よし!」 その愛らしい姿に嬉しくなった由紀乃は雪だるまの隣に並んでしゃがみ込むと、少し目線の高い雪だるまを見上げた。
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