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ゆきのと雪だるま
しんしんと降り積もり真っ白に染まる世界。
そこに日差しが降り注ぐとまるで宝石の海のようにキラキラと輝く。
ほう──と白い息を吐き出して由紀乃は冷たい手をこすりあわせ、またその手に温かな息を当てる。
僅かに温かくなるもののまたすぐに手は冷え、ぎゅっと握り込んだ。
今季初めて降り積もった雪景色を見て、由紀乃はわくわくと心踊る胸を弾ませ、さく、さく、と白い中へ足を一歩ずつ沈ませていく。首に巻いたからし色のマフラーを口元に引き上げるものの、冷気が隙間をぬって入り込んで来るので、ふるりと震える。
両手で掬い取った雪は軽くて、それをお団子を作るように、まあるく固めてみた。
時折キュっと鳴る雪が可愛く思えた由紀乃は微笑み、頬に朱が差した。
そうだ──と由紀乃は思う。
「ゆきだるまつくぅろぉー、……ふふふ」
お姉ちゃんがいたら別の意味でも楽しめたかも、と言う言葉は飲み込んだ。
由紀乃は手にある固めた白いボールにまた雪を重ねる。幾重にも幾重にも重ね、持てなくなると地面をころころと転がした。
「ふぅ~」
少しずつ大きくなっていく様子にとても楽しくなる。動かす身体はポカポカと温かくなっていくのとは反対に、雪を触る手だけはどんどん冷たくかじかんでいく。
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