残響は白く

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「ねぇ。パパもういいでしょう!こればっかり見てないで行こうよ」  擦り切れたVHSの音と共に、演奏は途中で遮られた。 「んあー!お父さんの雄姿がぁ!カッコイイってずっと言ってたじゃないか。実はこの友達と再結成、、、、、、」 「何度も見せられたら全然楽しくない!それにこれ位だったら」  そう言い、高校に入ったばかりの娘はギターを肩から掛けると、あの映像とは比べ物にならないような超絶技巧で弾き語ると、あの映像が陳腐に感じる様な程の上手さでギターを弾き終わるとすぐさまギターを置いた。 「、、、、、、、うそーん!!」  開いた口が塞がらず、自分の頭の中が真っ白になっていく。  時代は変わるのである。悔しいと言う感情の波が引いて行くと、今度は娘のこれからの将来が楽しみになった。  勿論、再結成の話は無くなった事は言うまでもない。
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