13人が本棚に入れています
本棚に追加
怪奇現象との対峙
暗がりで良く見えませんが、小さい子供が何やらもぞもぞ動いています。
動く度にあのザラザラと言う音が聞こえるのです。
風太君は恐怖のあまり「ひゃあ!」と声を出し、頭まで布団を被り、ガタガタと震えました。
見てはいけないものを見たような気がし、すっかり恐怖の虜になりました。
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏!」
祈るような気持ちで唱えてみましたが、一行にザラザラという音は鳴り止みません。
まだ得体の知れないものが部屋の中に居るということです。
数分後、風太君もすっかり落ち着きを取り戻しました。
明日も仕事があるのに、何故自分がこんな目に遭わなければならないのだ、という苛立ちさえふつふつと沸いてきました。
布団一枚隔てた向こうではまだザラザラと音がします。
睡眠まで妨げられて腹を立てた風太君は、思い切って相手の正体を見ることにしました。
布団から手を伸ばし、手探りで照明のリモコンを探し当てました。
「一、二の、三!」
電気を点けるのと同時に布団から勢いよく飛び出しました。
最初のコメントを投稿しよう!