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妙案とは意趣返し
車中では、妖怪たちが結露したガラスに絵を描いたり、窓の外を眺めたり、取り付けられたシートベルトを不思議そうにひっぱたり噛んだりしています。
それから15分ほどしてある閑静な新興住宅地に入りました。
区画整理された、新しい住宅地でした。真新しい家が立ち並んでいますが、ところどころ工事中の足場が掛かっていたり、更地にショベルカーだけ置いてあるような区画がありました。
ここには、風太君の上司の家があるのでした。
家の前で停車し、外に出ました。
外は、春が訪れているとはいえ、深夜にもなると肺に入る空気までがしっかりと冷たいです。
妖怪たちも外に出してやりました。
一番子供の妖怪は立てないので抱っこしました。
3匹ともほどんど裸にも関わらず平気な顔をしています。
「よし、お前達はここの家の主人の眠りを邪魔するんだ」
妖怪達は、分かったのか分からないのか、お互いに顔を見合わせています。
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