1.いざ会議室へ

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1.いざ会議室へ

「おい、九十九(つくも)! お前、制作会議呼ばれてるんじゃないのか?」  制作3課(ウチ)の入口で、一際目立つ大男が声を張り上げて、こちらに手を振っている。 「えっ? ああ、もうそんな時間か」  作業中のPCのプログラムを保存して、持ち場を離れる。周りの連中は、それぞれ自分の作業に集中している。 「伸吾、ステージ2の武器屋の親父、『ボウガン持った時に右向くとバグる』って報告上がってるぞ」 「あれ? 今朝修正出したっすよー?」  3台のPCを駆使して、キャラクターの動きをチェックしていた色白眼鏡君が、口を尖らせる。 「知らんが、アキラが今日のバイト報告で上げていたぞ」 「今日の報告っすか……分かりました、チェックしまっす」  眉間にシワを寄せ、彼はうーんと伸びをした。 「おう、頼むぞ」 「おぅい! 九十九ぉー」  入口で痺れを切らした大男――熊田が呼んでいる。  システム手帳とスマホを手に、狭い通路を横向きに歩いた。  廊下に出ると、熊田は大股でズンズン歩き出した。待たせた分、急いでいるのだろう。 「今日の会議、何だったっけ?」  頭を掻きながら、隣の大男に訊く。熊田は呆れたように、溜め息を吐く。 「アレだろ、新プロジェクト『BAKEMONSTAR(バケモンスター)』」 「ああ……社運を賭けたプロジェクト、ってヤツ?」  エレベーターの前で待つ。ミーティングルームは7階、ここは4階。息切らして駆け上がるには、俺達は若くない。 「だけどさぁ……モンスターパニック物って、もう目新しくないだろ。何で『社運』をここに賭けるんだ?」 「知らんよ。部長が説明すんだろ」  15人乗りのエレベーターは、ほぼ満員状態。そこにデカい男2人が無理矢理詰めて、乗り込んだ。
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