日常怪談〜穢〜

最終話 忌み碑

4月１日

　新しいお家にひっこして、僕はじふんの部屋ができた。ともだちとは、はなればなれになったけど、スイッチを買ってもらったからみんなとあそべる。

　４月10日

学校に新しいともだちができた。大橋智也くん。今度、僕の部屋にあそびにきてくれる事になった。

４月11日

　最近、お家がうるさい。夜中にパパとママのともだちがきてるみたい。たくさんのひとの話し声がする。ママに聞いても知らないていうへんなの。

　５月３日

　ママが、夜中に廊下を歩き回ったり、階段をはしりまわったりしたらだめ、って怒るんだけど僕は何も知らない。
　智也くんが遊びにきたけど、すぐに帰った。お家が暗くてこわいんだって。でもお昼間なのに、こわがりだなぁ。

　５月７日

　おふろばで、知らない女の人をみた。浴槽の中でずっとたってる、寒くないのかな。ママが最近すごく怒ってる。

　５月１０日

　台所の流し台から、黒い手がいっぱい伸びてて怖い。冷蔵庫までいきたいのに。パパの帰りが遅くて遊んで貰えない、さみしい。

　５月１７日

　ママとパパがよく喧嘩してる。パパは、うらにあるほこらが悪いんだっていってた。気持ち悪いものがあるから悪いって。

　ママは、パパがフリンしてるんでしょ、へんなこといって

　このいえにかえらないつもりなのよ、わたし、前から知ってたわ、絶対にあのそうむのおんなと、フリンしてるでしょ、ようもないのにスマホばっかりみて。あのおんな、私がうらやましくてしかたなかったのよ。いつだってマウントとって、嫌な女だわ。ぱぱはだまされてるのよ、あの女、わたしを妬んでたわ。ころしてやる、ころしてやる、ころしてやるころしてやるころしてやるあんたもころしてやるわみんなしぬのよ、このいえにきたんだから

　５月２０日

会社を無断欠勤した広瀬和明さんを不審に思い、同僚のSさんが自宅を訪れた所、寝室で血塗れになって死亡しているのが発見された。
　自宅にあった刃物で、めった刺しにされており、二階には息子のカイくんが首を絞められて殺害されていた。そして、妻の奈央子容疑者は自宅の庭にある祠の前で首を吊った状態で発見された。
　警察は無理心中として見ている。

　５月２２日

　いやねぇ、あの場所に一軒家なんてよく建てたなって噂してたのよ。地元の人だったら絶対に買わないわ。だってあの祠　　様だもの。
　恐ろしいったらありゃしない。　　様の土地をお借りするなんて命取られてしも仕方ないわ。あのご夫婦都会から越してきてこのあたりの事を何も知らなかったのね、可哀想な事をしたわ。　　様？　だめよ記事にしたら。貴方の子孫末代まで祟られるわよ。

忌み碑／終