第二章・―何だかんだで異世界満喫なう―

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 目障りなのは、コクオウが定期的に送ってくるゆうしゃの存在だ。  まぁ、俺達に敵う筈もなく。まず俺の下まで辿り着けるゆうしゃ自体がいないんだが、それでも、仲間達の何体かは、殺られてしまう時もある。  その度、俺達は丁重に遺体を扱った。  俺達は友人であり、親友であり、仲間でも家族でもある。  大切な者を喪えば、悲しいのは誰でも同じじゃないのか?  誰とも争う事なく。皆平等に、日々を働いて生きる。  俺達モンスターでも軽々こなせている事を、ニンゲン共には不可能なのか?  何て情けない種族なんだ。  俺は今まで、こんな情けない種族として生きてきた事を恥じると、改めて決意する。  これ以上、ニンゲン共の好き勝手にはさせない。  皆を護るためにも、彼等の長として、一度本気を出してニンゲン共を蹴散らす。  ニンゲン共が暮らすセカイ共々――。  それくらい完膚なきまでに叩きのめしてやらなければ、やつらも到底目が覚めない事だろう。  俺達にはどうあっても敵わない。  襲ってくるだけ時間の無駄なんだ。  そう理解(わか)らせてやれば、或いは潔く諦めてくれるかも知れない。  そこに一縷(いちる)の望みを懸けて、俺は単身城に乗り込んできたゆうしゃを秒で蹴散らすと、ニンゲン共が住むセカイごと、一人残らず滅ぼしてやったのだ。  ……これで良い。  俺達はニンゲンにも、彼等が住むセカイにも興味等ない。  ただ自分達だけで平和に、平穏無事に日々を生きたいだけだから……。
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