第三章・―誕生の瞬間―

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 一度セカイを滅ぼした事で、いつの間にか俺は、ニンゲン達からマオウと呼ばれ、恐れられるようになっていた。  いや。  怖くないよ?  全然怖くないって。  ただお前達が無意味に侵略してくるから、撃退しているだけじゃん。  何自分達が被害者ぶってんの?  俺達、元々自分達が住んでいた土地の範囲内でしか生活していないし。  第一、そこ以外で自然も豊かにしてないし、動物達も繁殖させてねーっつぅの。  ちゃんとテリトリーを護って、ちゃんと自分達で蓄えて、日々を慎ましく生きて、何が悪いの?  俺がマオウって、妬みや嫉みから、こっちの土地や自然を荒らしてくるニンゲン達の方が、よっぽど質が悪いバケモノなんだけど?  だから滅ぼしてやったんだよ。  感謝しろよ。  土地ごと抉ってないんだから。  生き残りさえいれば、また自分達で努力して、一からやり直して頑張れるよ。  俺に出来る再生可能な方法を選ばせてやったんだから、本当に、むしろニンゲン達は感謝してくれ。  そしてもう、二度と、絶対、金輪際俺達に近付いてくれるな。  俺達は、自分達だけで平穏無事に、ひっそりと生きていくから。  ニンゲン達もそうしてくれ。  それで良いだろう。  もう、本当にお仕舞いにしないと、今度は本当にニンゲンのセカイそのものを滅ぼすからな。  俺にはそれだけの力がある。  見せただろう?  だからもう、二度と逆らわない事だ。
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