第三章・―誕生の瞬間―

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 それからはしばらくの間、また平和な時を過ごす事が出来た。  モンスター達は皆一様に慎ましく、自然と時に身を任せて生きている。  俺は俺で、やはり自分磨きというのを忘れずに、とにかく上を目指して頑張ってきた。  以前ならば考えられない事だが、引きこもりとして生きてきた時より、物凄く充実しているのだ。  ここらで何らかの改革をしたいんだけど、何が良いんだろうか……?  やっぱり、またニンゲンが攻めてきた時のために、彼らも色々と鍛えてやるべきなのかなぁ。  そう思って聞いてみると、皆喜んで鍛練したいと答えてくれた。  農業の技術とかは発達させてきたけど、武術とか、軍事訓練的な事した試しはないもんな。  一丁やってみるか。  ……で、農業とかの日課の中に、軍事訓練的なのも組み込んでみたら、皆驚く程真面目に参加してくれて、めきめきと上達していった。  当然レベルも上がり、皆強くなっていく。  凄い。  本当に、皆凄い。  改めて俺は、何ていう素晴らしい世界に生まれ変われたんだろう。  つくづく神様には感謝せざるを得ないな。  多分皆、日々の農業で足腰が自然と鍛えられて、武術に必要な鍛練が出来ていたからだろうな。  さすがだ。  ニンゲンなんかより余程素直で平和で、しかも強くて賢い。  よし。  これからは、成果を上げたモンスター達には、御褒美をあげる事にしよう。  そうすれば彼らも喜んで、もっと自分から精進する事だろう。
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