『異世界転生したら、モンスターだった件』

　あ、でも。咄嗟にスマホ投げようとしたけど、……荷物、なくなってね？
　え。トラックきた時に、スマホしか持ってなかったっけか……。
　ていうかそれ以前に景色だよ。どっかで見た事ある景色。
　……。
　…………。
　………………。
　あ。
　これ、俺がハマってるネトゲのやつだわ。
　え。俺、ネトゲの住人になっちゃったの？　んな訳ないよな。先刻の声、何か野太い感じもしたけど、ちゃんと人間……？　だよ、なぁ……？
　ま、まぁね。異世界転生っつったら、テンプレで大概チート能力備えたゆうしゃとか、せんし、でしょ。
　俺、これから世界救いまーす。みたいな。
　…………。
　何か不安になってきた。
　景色から察するに、ここは序盤辺りのフィールドに違いない。
　だとしたら、この辺りに水溜まりがある筈。
　手元にスマホが。いや。充電とかどうなってんのか理解(わか)らない以上、無闇に電池消費をしたくはない。
　取り敢えず水溜まりを探す。
　やけに足音が重いな。重装備なのか？　ていうか、仕事以外は半引きこもりの俺なのに、よく普通に歩けるな。
　って、あった！　水溜まりが！
　よし。確かこの世界の水は、泳いでいる魚が透けて見える程綺麗な筈。
　水鏡に映して見るには、丁度良い感じの大きさだわ。
　早速姿を映してみて……と。
　……ま、まさか……こ、こんな事ってぇぇぇ……!?