第二章・―何だかんだで異世界満喫なう―

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 こっちにきて更に数年経った。  初めは心配していたスマホの電池残量なんだが、この世界の法則から外れているのか、何故か全然減らないから重宝している。  ただ、ネットは使えないから、主に素材交配のメモとか、スケジュールの基本的機能しか使ってないけどな。  それでも、やっぱりスマホは便利なツールだった。  持ってて良かったし、最初に壊さないで良かったわ。  で、俺もレベルアップと共に、リザードマンの能力以上に色々こなせるようになったな。  そのお陰か、ずっと孤独だった俺のところに、段々と色々なモンスターが集うようになってきた。  相手が何であれ、慕ってくれるのは本当に気分が良い。  という訳で、持てる知識を駆使して、慕ってきてくれるやつらも快適な暮らしが出来るように配慮する。  すると面白い事に、モンスター達は、それぞれの知能指数は違えど、お互いに補って一つところに暮らし始め、やがては小さな町のようなものを形成するまでに至ったのだ。  これには俺も驚いた。  異種間で意思の疎通が可能なのも凄いけど、それ以上に、共存不可能だと勝手に考えていたモンスター達まで、争う事もなく平和に暮らしている。  やっぱり、ゲーム内と目の当たりにした現実とでは、かなり違ってくるんだなぁ。  モンスター達は毎日のように俺の家を訪ねては、お礼代わりに色々なものを持ってきてくれる。  果物や新鮮な魚介類。山菜やらきのこ類。はては、独自に作った飲み物や食べ物まで……枚挙に暇がない。  俺も出来る限りの事をしてやらねばと、毎日毎日モンスター達と一緒に狩りに行ったり、料理を作ったり、皆が暮らせる家を建てたりしている。
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