春来るよ

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住宅街の隅っこに僕の家はある。裏手は雑木林になっているから、地震や台風が来た時はひやひやする。もしかして引っ越した方が良いんじゃないの。七歳の僕でも思うことなのに、ここに一緒に住んでいるおばあちゃんとおじいちゃんはニコニコ笑っていつも言う。 「大丈夫。山の神様が守ってくれるからね」 それじゃあどうして土砂崩れが起きて町や家が飲み込まれてしまうことが起きるのだろう。おばあちゃんにこわごわ聞いてみた。 「ここの神様とご先祖様が約束したんだよ。ここの雑木林や山は絶対に壊さないって。そうしたらずっとこの町を守るって」 それからずっと村人はここの山や川や自然を守ってきた。観光客が来るようにしたいって言うエライ人達の言うことも聞かなかったんだって。だからいつまでたっても、ケイタイやパソコン使いづらい。電波が届きにくい町になった。電波ってよくわからないけど、みんながそう言ってる。最近ではそれが良いっていう人たちが現れて、自然を守る目的と昔から続く伝統や農業を守るために都会から移り住んできたひとがいる。最初は都会の人がめちゃくちゃにしちゃうんじゃないかって、町の人達がうわさしていたけど、ここに住みついた人たちは良いひとばかりだった。山で狩りをして生活をする、猟師になりたいってひともやってきた。そういう人たちのために山での作法をおばあちゃんや、おじいちゃんが教えてる。僕にはさっぱりわからない。だって、神様に会ったことがないんだもん。
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