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隣で朽ちて茸の温床となっている大木と差ほど変わりがない事が余りにみすぼらしく、無様な己の姿に笑い出してしまいそうになる。
(騎兵団にとっては、所詮俺も使い捨ての駒の一つか……)
この症状が現れ、気味悪がられたのは何時だったか。
症状が進行して団と街を追い出された後は、森に住み着き、騎兵団の堕天者狩りを何度も逃げ延びた。
そうする内に生活圏は人里を離れ、遂には症状は末期となった。
(こんな姿にならなければ、俺も。いつか結婚とか……出来たのかな)
青年は静かに首を下ろし、目を閉じた。
っていうか、これから死ぬって時に。何考えてるんだ、俺──。
──リィン
遠退きかけた意識を繋ぎ止めるように、鈴の音が聞こえた。
幻聴だと、苦笑う。
──リィン、チリィン
しかし、止んではくれない。
どんどん近付いて来る。
其れに伴い、苔の大地を踏み締める人の足音まで加わる始末。
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