8人が本棚に入れています
本棚に追加
あの男の子は・・・
小さい頃、近所に古びたお寺がありました
住職などいません
外には砂場とブランコだけ
あと、斜面があったのでみんなで滑り落ちているうちに自然と段ボールを敷けば滑り降りることができるようなアトラクションが出来ていました
それと、水道も
水道があることでみんな大好きドロ団子ができるのです
男の子はぶつけっこ
女の子はおままごと
小学生が学年を超えてみんなで遊んでいました
当時やはり人気だったのがかくれんぼや缶蹴りでした
大勢で缶蹴りなんてしようものならいつまで経っても鬼になってしまうので嫌でした
あの日もいつものようにみんなでかくれんぼをしようと言うことになりました
周りは住宅地でその日初めて混ぜてって言って遊びに加わる子もいました
さて、お寺ですからあちこち隠れる所はありました
夕方になって、愛の鐘が鳴りました
愛の鐘が鳴ったら子どもは家に帰ると教えられています
小学生ですから、みんな見つかったと簡単に考えてバイバーイとなりました
あの日、初めてかくれんぼに加わったあの子は見つけたっけ?
夜になって思い出しました
お母さんに言うと、なんて子?って聞くから知らない子と言いました
それからが大変でした
お母さんがその日遊んでいた子に聞いたりして
でも誰もよその子だから知らないと言うばかりでした
自分で帰ったのかな?でも小さい男の子だったよ
と、私がお母さんに話すととても心配していましたがなすすべがありません
そのあと、怖いことに小さい男の子が家に帰って来ないと警察に届けが出たのです
どこに隠れていたのかもわからなかったし明日みんなで探そうと言うことになりました
大人や友達みんなで探しましたが結局、見つかりませんでした
男の子は行方不明のままになりました
それから何十年も経ったある日私は夢を見たのです
お寺を取り壊す話を聞いたからだと思っていました
お寺
あの日あのお寺で居なくなった男の子はどうしたんだろう
あの事を覚えていたのは多分私くらいだったのではないでしょうか
あのお寺にカラクリ部屋があって、その壁に偶然あの子が触ったはずみで裏側に入ってしまったと言うものでした
もう、私も大人になっていましたが、母に夢のことを話しました
間も無く取り壊されます
わかりました
壊す業者さんにお話に行きましたが信じていなかったようだと母は言っていました
壊される当日
その日、私はショックで倒れそうになりました
内部の狭い部屋から小さな骨が見つかったと聞いたからです
壁には外に出たくても出られなかったらしく引っ掻きキズが無数にあったそうです
そのうち、寝てしまい見つけられずに
解体したその日の夜、私はものすごい形相のバケモノからありがとうと言われる夢を見たのです
最初のコメントを投稿しよう!