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荒い呼吸をするユラシルを見下ろすバリメスはしばし考え、一度だけ頷き、
「よろしい、ではキミの王前試合の権利を剥奪する」
「なっ!?」
「ば、バリメス様!?」
「テメェなんかに握らされた権利ならこっちから願い下げだ」
「そうか。騎士たち、先に出ていろ。ダイヤー少年を王宮へ運び込め、俺もすぐに行く」
「し、しかしバリメス様…」
「早くしろ、命令だ」
「は、はっ!!」
騎士たちが速やかに医務室を出ていく。ユラシルを見つめたまま扉が閉まるのを待ってからバリメスは肩を揺らして、
「確かに、キミの言う通りかもしれないな」
「何?」
「ローズエッタは立派な騎士だ。間違っていたのは俺の考えだった」
バリメスの言葉にバズギーとアリッシュが目を丸くする。
「今の王宮での考えは俺が言った通りの物だ。騎士たちがいる前でその考えを否定するのはこちらの立場も苦しくなるから貫いたが、キミの考えこそが本当の騎士のあり方だと俺も思う」
「………」
「ローズエッタの息子、バズギーくん。キミの父親を侮辱する言葉を吐いてすまなかった。謝罪させてくれ」
「いっいえ!バリメス様の考えはもっともですから、謝罪なんていりません!」
頭を下げる姿にバズギーは慌てながら言う。だがバリメスは首を横に振り、
「彼のおかげで目が覚めた。今の騎士は歪んでいることに気づけた、これからは騎士とは何か、それを正すために尽力しようと思う」
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