187人が本棚に入れています
本棚に追加
剣を特設観戦席の前にある手すり付きの壁に突き刺しユラシルは剣の上に立つ。壁の薄さからして自分の重さに耐えられるか不安だったが大丈夫そうで、壁に触れないよう注意しながら、
「アリッシュ、緊急の用件だ」
「ダイヤーくんの件ですね」
「気づいてるなら話は早い、俺があいつをなんとかするから邪魔を入れないことと、なんとかした後にあいつを調べてくれ」
「わっわっ、ユラシル!こっち向きなさいユラシル!」
アリッシュの横から両手を振って割り込もうとする小さな少女を無視するユラシル。
「恐らく何かの薬物の効果で強化されてる。このままじゃ王前試合が中断されちまうからあくまで試合としてあいつをどうにかする」
「わかりました、必要なら『ワールド』も使用してください」
「最悪な。後は任せる、アリッシュ剣を支えてくれ」
バズギーと八年生男子、ダイヤーという名の青年がぶつかり合う武舞台に向き直り、柄の端に足をかけ姿勢を低くする。アリッシュは壁から突き出た剣を両手で掴み、自身を『ワールド』で強化しがっちりと固める。
「この剣はどうしますか?」
「落ちてるのを使う、お前の協力が入ったら失格になりそうだからな」
「了解しました」
「ユラシルユラシル!このわたくしが呼んでるんだから返事しなさいよ!!」
「やっかましいわクソガキ!!黙っとけボケ!!」
「ぴょっっ!!?」
最初のコメントを投稿しよう!