187人が本棚に入れています
本棚に追加
さっきよりも一回り体が大きくなっているダイヤーへユラシルも駆け出し、大振りの左腕をかわしながら入れ違いざまにダイヤーの顎先を拳が掠める。顎に衝撃を受ければ脳が揺れ、一時的な意識障害が発生する。意識を丸ごと刈り取ることも出来るが、ダイヤーはふらついて転んだだけですぐに身を起こした。
「理性が飛んでるから気絶も無理か……なら動けなくなるくらい完璧に打ちのめすしか無いな」
「グウウウ……き、し……騎士に、なるんだァァ…!!」
「っ?」
「勝つ…勝つ勝つ勝つッ……騎士になるために勝つッ…!!勝つ勝つかあああアアアアアアアアア!!!!」
うわ言を零し、叫ぶ。本当に獣みたいに知性の無い動きでただ敵を排除することだけに専念するダイヤーをユラシルは見つめ、接近に応じ構える。
「なれるわけ無えだろ、馬鹿野郎が」
突き出された右拳の下を潜りダイヤーの胸の下、鳩尾へ肘を突き込み、足払いして体勢を崩したそこへ左右の拳が連続してダイヤーを打ち抜く。
倒れることを許さない右足の蹴り上げによってダイヤーが歪に歪んだまま立ち止まった。
「剣無し剣技、十ノ刃」
無防備となったダイヤーの胸へ左手人差し指を向け、引いた右の握り拳を全身ごと前へ運ぶ。
「【神哭貫】ッッ!!!」
ユラシル最速の縦突きが炸裂して血を吐きながらダイヤーが弾け飛んだ。
最初のコメントを投稿しよう!