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その間にユラシルはダイヤーが落とした剣へ走り、拾う。本来の自分の本領をこれで出せるとユラシルは少し楽観視してしまったが、直後に異変を察知した。
「アガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
仰向けに倒れたまま絶叫したダイヤーの全身の筋肉がさらに膨らみ、皮膚を裂いて血を噴き出し始めた。ブワッと風が吹き荒れてユラシルは目を細めバズギーは顔の前に腕を添えた。
「なっなんすかこの風!?急に闘技場内に発生したっすよ!?」
「っっ………、!?さっサラ見て!ダイヤー先輩の体から…!」
「……えッ、な、何あれ…!?まさかあれって…!」
うっすらと、透明な何かがダイヤーの体から噴き出しているのをメイリーとサラが目撃した。あんな現象見たことが無いがしかし、二人はあんな不可思議な"何か"に似た力を見たことがある。
「………あれは、ひょっとして"あの力"か…?」
果たして何人があれに気づいているだろうか、レビックは険しい表情で呻く。
(ダイヤーが使った薬物に人体の限界を無理矢理こじ開けて力を引き出すなんて効果があるとしたら、普段認識すら出来ない内側に蓄積された『ワールド』が本人の意思に関係無く出てるのか…)
予想でしかないがユラシルはそう考えて、特設観戦席から身を乗り出していたアリッシュへ手を上げ制止させた。
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