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『ワールド』を感じて危険と判断したのだろうがユラシルは待ったをかける。そのまま上げた左手の指を折り曲げる。人差し指だけを残して。
一本。つまり数字の一。ユラシルの意図をなんとなく察したアリッシュはユラシルを見つめながらわかるように大きく頷き、見てからユラシルが姿勢を低くし剣を構えた。
「アガガガガガ…!!ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
咆哮なのか悲痛の叫びなのかもわからない声を上げてダイヤーの体が常人では決して出せない速度でユラシルへ襲いかかる。目視すら出来ない速さで真上からの拳で殴打され、地面に落ちたユラシルの体が武舞台に亀裂を刻んだ。
「ガアアッ!!アアア!!!ウガアアアアアアアアア!!!!」
ユラシルを跨ぎ何度も何度も拳を打ち下ろす。ユラシルの顔面を、腕を、胸を、腹を連続して超常の力を乗せた拳がユラシルを打ち付ける。
防具が砕け散る。血飛沫が舞う。忽ち武舞台の一部にユラシルの血が飛び散り色をつけていく。
「ユラシルくんッ…!!」
口元を手で覆うメイリー。シェリムは顔を背ける。だがサラは逸らさない。
『ワールド』は常人では到底敵わない力だ。それをダイヤーが出しているとしたら、使わないと約束してはいたがしかし、
(ユラシル、やるしかないわよ…!)
「グルァアアアアアアアアアアアア!!!!」
ダイヤーが血塗れの拳を振り上げた。
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