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「───いい加減俺を無視してんじゃ無えぞォッッ!!!」
真横へ払う豪快な一打。バズギーの斧を受けてダイヤーが転がり、その瞬間ユラシルがカッと目を開けた。
「ナイスだ、バズギー」
ダイヤーが起き上がる。その時にはユラシルがダイヤーの正面に立ち、
「一ノ刃───【舞衝】」
目まぐるしく様々な角度から連続する剣撃の乱舞をダイヤーへ放った。
振るわれる刃にはダイヤーの物とは比べ物にならない密度の力が宿っている。そして剣を振るう右腕にも。直撃の寸前で速度と威力を上げてはた目からはわからない小細工を含めた連撃がダイヤーを打ちのめす。
「せぇえええいッッ!!!」
最後の一撃が決まり、ダイヤーの体が武舞台の外へ飛び出し闘技場の壁に叩き付けられた。場外もそうだが、もうダイヤーには動けるだけの余裕も無かった。
理性が飛んで痛みを感じていなくてもしっかり体には刻まれている。ガタが来た今の体では歩くことはおろか立つことも出来はしない。
まぁもっとも、ダイヤーの意識は完全に沈んでいるから無理なのだが。
『八年生一位、ダイヤー・クルベックくん場外!!し、しかし凄かった!一体何が起きていたのでしょうか!!』
役目は果たした。後はアリッシュに任せるとして、巡らせていた『ワールド』を消したユラシルは片膝をつき激しく息を切らす。
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