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「な、なんとか勝ったっすね…」
「う、うん」
「けどかなり消耗してるわね。それにダイヤー先輩の攻撃をモロに受けてたし、ダメージは相当あるはずよ」
剣を支えに立ち上がったユラシル。『ワールド』は感知されないようにダイヤーとの距離が近い位置でしか使っていなかった。ダイヤーから漏れていた『ワールド』を隠れ蓑にしていたからで、ダイヤーの猛攻は『ワールド』無しの生身で受けていた。何度意識を手放しかけたことか。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ……これでようやくサシでの勝負になったな、バズギー」
「………」
血塗れの顔で笑うユラシル。腫れた目蓋のせいで左目が少ししか開いておらず、ふらついているのを見るだけでいっぱいいっぱいなのは明白だった。
バズギーは斧を片手に持ちながらユラシルへ歩き出し、ユラシルは支えにしていた剣を構える。
「…テメェが強いのはよーくわかった」
「あ…?」
「今なら楽に勝てるだろうな。………だが、そんな勝ちに興味も意味も無え」
言って、バズギーは斧を背負いこう続けた。
「俺は棄権する!!」
闘技場内がざわめいた。そんな中を方向を変えてバズギーは歩いていく。
『あ……っと、六年生一位バズギー・ローズエッタくんが棄権の宣言!!これにより交流戦第四試合の勝者は二年生一位のユラシル・リーバックくん!!最終戦への進出権を獲得です!!』
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