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歓声があがる。勝ちを言い渡されたユラシルはしかし不満な顔でバズギーの背中を見つめる。
「バズギー、お前もレビックとやりたかったはずだろ。なんで棄権したんだ」
「言っただろが、もうお前に勝つ意味も、その先の興味も失せたってな」
「今の俺に遠慮したのか?アホかお前、俺はまだまだやれるぞ」
「違うな」
「あん?」
「ボロボロのお前に勝つことに興味が失せただけだ。やるならお前が全快の時、その時改めてお前を叩き潰すんだよ。遠慮なんてくだらねえ理由なわけねえだろ」
「………」
「もっと鍛える。もっともっと強くなってやる。その時にお前にもレビックにも勝ってやる。今はお前が上でもいつかは絶対に俺が上に行く、それだけだ」
「……お前がどこまで登って来られるか、期待して待っててやるよ」
「その減らず口もその時までだからな、ユラシル・リーバック」
鋭い眼光を見るだけで、ユラシルが余計な心配をしていたことを思い知る。バズギーはちゃんと歩いていることを。前を向き、自分の意思で考え様々な物事を見て進むべき道を見つけられる強さがあることを。
どれだけ険しかろうと決めた道へ踏み出せる強い心。紛れもなく騎士の心だ。
「フッ……なんなら僕ちゃんが鍛えてあげてもいいでちゅよ~!」
「うごっ!?テメッ馴れ馴れしくすんじゃねえよっ!!」
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