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ワーギャー騒ぎながら退場していく二人に拍手の雨が降り注ぐ。一番目立っていて勝ったのはユラシルだが、バズギーだってしっかりと自分の力を示すことは出来た。二人とも頑張った、それを賞賛する拍手。
「バズギー、この後ちょっと付き合ってくれないか」
「あ?なんだよいきなり。つーかいい加減離せや!!」
引き剥がそうとするバズギーの首に腕を回し、顔を耳元に近づけて、
「ダイヤーの様子を見に行く」
「───。チッ、わぁったよ」
「よちよちいい子でちゅね~!」
「テメェマジで殺すぞ!?気色悪いんだよコラ!!」
(一方的に)じゃれあいながら引っ込んでいくユラシルたちが見えなくなるまで拍手は続いた。
次はいよいよ大詰め。学園最強を決める最後の試合を待つ。
☆
「ユラシルくん、それにバズギーくんも一緒ですか」
「アリッシュ、どんな感じだ?」
医務室にやって来たユラシルたちを出迎えたはアリッシュはベッドの上で拘束されながら眠るダイヤーへ顔を向ける。
「暴れていたので昏睡させました。念のために拘束もしています」
「その方がいいだろうな。なんかわかったことあったか?」
「彼の右腕を見てください」
言われてベッドに歩み寄り、腕の向きを僅かに変えて確認してみる。
「……なっ、なんだこりゃ…!?」
「何かを注入された痕だろうな」
ダイヤーの右腕には赤黒く変色し腫れ上がった箇所があった。血管が浮き上がり酷い内出血が残る右腕をまじまじと見てから戻したユラシルは、
「薬物……もっと言えば劇物を入れたんだろうな。だからあんな力が出せた」
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