179人が本棚に入れています
本棚に追加
/296ページ
ついボロを出したユラシルとアリッシュが慌て気味に言う。バズギーは小首を傾げるだけでそれ以上は聞いてこなかった。そのことにホッと胸を撫で下ろす二人は、
「とにかくこいつのことはアリッシュ、お前に任せるぜ」
「わかりました。あなたも怪我の治療を受けてください、もちろんバズギーくんも」
「どうせすぐにレビックとやるんだし、少しの時間で出来る治療なんて意味無いからこのままでいい。バズギーは頭割られてただろ?治療してもらえ」
「あ、ああ……ん?おいコラ敬語使えや二年坊!!」
「今さらかよ」
そんなやり取りをしていると、不意に医務室の扉が開いた。見てみれば鎧を纏った騎士がいて、後ろにも数人同じく武装した騎士が見えた。
「アリッシュ、あの子供の様子はどうだ?」
低く、それでいて威厳に満ちた声を聞いてアリッシュはすぐに片膝を床についた。騎士に扉を開けさせて中に入ってきた金髪の男を見て慌ててバズギーも膝をつくがユラシルは棒立ちだった。
「現在は眠っています。今彼がああなった原因を調べてもらっています」
「そうか」
入ってきた男は煌びやかな装飾品を着けていた。身に付けている物も、着ている衣服も上物で、左頬に大きな傷跡がある男はユラシルに目が止まり、
「先ほどは素晴らしい戦いを見せてくれてありがとう、少年」
「あんた誰だ?」
最初のコメントを投稿しよう!